※この記事はsakefan.net掲載記事(2018.03.15)の転載です

今月の酒蔵訪問レポートは、酒蔵開放40回記念の山梨県 山梨銘醸さんです。「七賢」という銘柄の蔵元ですね。山梨銘醸では3/3から3/11まで9日間にわたり酒蔵開放を行いました。地元の山梨はもちろん、東京、神奈川からも多くの人が訪れた様です(新宿からのバスツアーもありました)。
お伺いしたのは月曜日。最寄りのバス停へ行くバスが出ている韮崎駅に10時ごろ到着。駅からバスで30分ほどで「台ケ原上」バス停に到着です。ここが山梨銘醸の最寄り、の筈なんですが大きな国道沿いでガソリンスタンドと民家がちらほらという景色。周りを見回すと蔵開きの看板がありました! 看板に向かって歩いていって看板を良く見ると矢印が折り返している・・・反対だったのですね。ということで逆向きに歩いて、信号まで行くと今度は左向き矢印の看板が見つかりました。曲がっていくと少しで蔵の入り口が見つかりました。良かった。。。

左)韮崎駅入口 右)台ケ原上バス停

週末の混雑を避けて月曜日に訪問したのですが、蔵に到着したお昼前ですでに入り口には「満車」の看板が出ているではありませんか! 運転してきた人は飲めないわけだから、車の倍以上の人数がすでに来られているわけですね、きっと。しかし周りにあまり人影はありません。空からはポツポツと雨も降ってきました。まずは総合受付へ行きます。
総合受付で高級酒利き酒券(8種呑めて1000円と格安!)を購入し、お猪口をもらったら「蔵見学はどうしますかー」という声が。受付の方が親切にも「もうすぐの時間が空いていますよ」と教えてくださったのでお願いすると首からさげる札を渡されて入り口前で待つことに。入り口前には総合受付の続きでテントがあり、ストーブで暖が取れました。隅には記念撮影用の酒樽と何だか懐かしいFacebookの投稿枠(笑)。なかなかに微笑ましい風景です。使っている人もしっかりいましたよ。

左)撮影コーナー 右)蔵見学の札

酒蔵見学です!

時間が来たら案内役の蔵人さんに連れられて蔵の中へ。入り口でスリッパに履き替えて消毒液で手洗いをします。そこから階段で3階へ。想像よりも大きなコンクリート造りの建物です。よくあるキャップは無しだなーと思いながらついて行くと、ど~んと浸水用のステンレスケースがありました。横に洗米機、奥に連続式蒸米機が。なんかカッコイイ。この階の一番奥に麹室があります。暖簾がかかっていて機械的な雰囲気からいきなり「和」の雰囲気へイメージチェンジ。中は壁も木製なのですが、見学用に除き窓があったり、酒米や麹米の説明があって実際に見れる米が置いてあったりと見学用スペースになっていました。その後酒母室ものぞいたのですが、ここも分厚い扉がありました。麹室だけではなく酒母室、発酵中のタンクのある部屋、搾り機がある部屋は温度管理のために扉があり、除き窓から見る形式なのです。これならキャップはいらないか、と納得。この環境があるので三季醸造が可能になっているというお話がありました。多くの方に蔵を見て頂けるようになっているのですね。私が参加した11時からの会は皆さんで10名程度。蔵開き期間中は平日も1時間に1回は蔵見学を実施しているということで、9日間でいったい何人の方が見学されたのだろうかと考えてみましたが、全く見当もつきません(スミマセン)。3階が洗米&蒸米系と麹室と酒母室、2階にタンク、1階に搾り機という構成でした。ちょうど搾っている最中でしたが、さすがにここでチョット試飲という訳にはいかず、試飲は後程のお楽しみに。
左上)浸水ケース 右上)連続式蒸米機 左下)麹室入口 右下)麹室内

左上)酒母室 右上)発酵タンク 左下)貯蔵タンク 右下)搾り室

いざ、試飲会場へ!

試飲会場は別の建物で中は広い部屋という感じ。高級酒8種を筆頭に全19種類がズラリ。11種類は手酌ですがなんと呑み放題です!そしてこっそりという訳ではありませんが、番号が振られた試飲酒とは別に展示されていたホテルリッツカールトンのロゴ付き提携酒も実は試飲可能でした。ということで20種類です。凄い!! そしてその場で購入が可能なおつまみ系の試食もあり、これはなかなかにお酒が止まりません。七賢の酒粕を使った合鴨ハムやアイスバイン、ソーセージなどを並べていたお店など、書かれている案内板が「試食コーナー」ではなく「おつまみコーナー」! なんとも有難い。そして肉も分厚く、男気を感じます。ということでお土産に購入となるわけですが・・・。でも本当にお酒もおつまみも美味しかったです。蔵の方に伺うと週末はやはり相当に混雑していたらしく「今日はお得ですよー」と言われました。それでも結構な人数がいましたよ。雨の月曜日にこの人数とは恐るべき集客力です。
有料(1000円)の8種は、最高級の純米大吟醸雫酒(大中屋)に始まり、4合瓶で1万円超えが3種、5千円超えが3種という高級ぶり。なかなかに通常呑み比べられないものなのでとても満足しました。特に純米大吟醸雫酒(大中屋)とスパークリングの最高級(杜ノ奏)はやはり特別感が溢れます。特別なお祝いの時にいただきたいですね。杜ノ奏は近くで造られているサントリーウィスキー白州の樽で寝かせたウィスキーの香り漂うスパークリング日本酒です。この樽が使えるようになるまでには長年の交渉が必要だったとか。他には無いこの香りとスッキリした味わい。ファンになりました(高額なのでなかなか購入はできませんが・・・)。他にもスパークリング日本酒は星ノ輝、山ノ霞と全部で3種類あります。どちらもドライで食中酒としても美味しいです。他の蔵でこの時期によく見られる活性にごり酒とは違って、にごりもなく、火入れもされていて安定したスパークリングです。シャンパンの代わりにもなると思います。瓶や栓もシャンパンを意識したものになっています。機会を見つけて是非飲んでみていただきたい逸品です。
他にも都内では見ない本醸造「甘酸辛苦渋(かんさんしんくじゅう)」(唯一の燗酒!)や「蔵出し二年熟成本醸造無濾過生原酒」などとても興味深いお酒が試飲できました。蔵出し二年熟成は試飲は出来たのですが、販売分はすでに売り切れとのこと。納得の味でした。

試飲酒各種

山梨銘醸さんの蔵開きは終わってしまったので、来年のお楽しみということになりますが、この時期は色々な蔵元で蔵開きが行われます。まだこれから行う蔵もありますので、予定を合わせて色々な蔵を見てみるのも楽しいですよ。「多くの方が訪れる蔵開きは人が多いのでゆっくり見れない、飲めない」と言われることもありますが、蔵元も皆さんに楽しんでもらえるように色々と工夫されていたり、蔵開きでしか呑めないものや聞けない話があることもあります。それにやっぱり「今年の酒はどうだろう」と来ている方みんな同じ気持ちで楽しめるのが蔵開きの良いところではないでしょうか。

来場者が来年の蔵出しへの期待と提案を書いたパネル