※この記事はsakefan.net掲載記事(2017.08.21)の転載です
今回は、今までレポートされていても不思議ではなかったのにされていなかったJR東日本の「酒」をコンセプトとした列車 Shu*Kuraをレポートします。合わせて終点になる新潟駅から徒歩数分の「ぽんしゅ館」も行ってきましたので有名な新潟日本酒呑み比べもレポートしますよ。
Shu*Kuraとは
ご存知の方もおられると思いますが、まずは列車についての説明をしたいと思います。 Shu*Kuraは2014年から運行が開始されたJR東日本のリゾート列車です。最初「越乃Shu*Kura」という名称で、上越妙高駅から十日町駅の間を約2時間半かけて特別列車で運行されました。Shu*kuraというと越乃Shu*Kuraと言われることも多い様です。ですがこれは新潟駅へは行きません。現在は運行日によって上越妙高駅から越後湯沢駅の間で運行される「ゆざわShu*Kura」と、上越妙高駅から新潟駅の間で運行される「柳都Shu*Kura」の三種類のルートが運行されています。自分のスケジュールに合わせて列車を選ぶか、列車の運行日に合わせて旅行日を選ぶかよく考えて計画を立ててください。 Shu*Kuraという名称は越後の酒蔵と豊かな自然をイメージして「Shu=酒、Kura=蔵、*=米・雪・花」ということで命名されたそうです(出典:JR東日本Webサイト(http://www.jrniigata.co.jp/train/shukura/index.html))。 イベント列車なので、座席は特別に改造されていますし、車内でもイベントが開催されます。この列車の一番の特徴は通常の指定席車両(快速列車なので特急券はいりません)とJRの旅行商品びゅー専用車両(座席が海向きで素晴らしい)の間にイベントと利き酒のための車両があることです。この車両(2号車)は立ち席とイベントスペース、そして「蔵守」と呼ばれるサービスカウンターがあります。蔵守で日本酒を購入して座席に戻って呑んでもいいですし、その場で立ち飲みしながら日本海を眺めてもOKです!日本酒好きなら一度は体験したくなる設定ではありませんか。
びゅー専用車両内部(出発前に撮影させてもらいました)
Shu*Kuraに乗ってみる
列車は上越妙高駅と十日町駅/越後湯沢駅/新潟駅の間を運行しています。今年の場合、上越妙高駅発がお昼で逆が夕方です。Shu*Kuraは快速列車なので乗車券と指定席券(520円)があれば乗車できます(びゅー商品専用席はJRのびゅープラザ等旅行会社にてご確認ください)。今回は費用を抑えてお酒を楽しむために青春18きっぷ+指定席券で乗車することにしました。また新潟へ行ってみたかったので、上越妙高駅発で新潟駅着の柳都Shu*Kuraを選択。運行スケジュールを確認して指定席券の予約をとりました。ここでひとつ注意があります。発車する上越妙高駅は実はJR東日本の駅ではありません!北陸新幹線開通の際に第三セクターえちごトキめき鉄道になりました。なので実は青春18きっぷでは上越妙高駅から直江津駅までの乗車券を別途購入する必要があります。なんだか鉄道レポの雰囲気になってきてしまいましたが、通常は関東から行く場合新幹線で上越妙高駅まで行って、そこから下車駅までの乗車券と指定席券を購入しておけば大丈夫です。 えちごトキめき鉄道ロゴ(トキなんですねー)
余談ですが私は0時40分に八王子駅を出発し、夜行で松本までそのあと長野から信濃鉄道とえちごトキめき鉄道で上越妙高駅まで行きました。そして10時02分に出発です。
2号車を楽しもう!
指定席券をとった席はあるのですが、発車と同時に2号車へ。蔵守で早速日本酒を注文です。日本酒は利き酒用に5種類(これは1つでも注文可能)。それから三種吞み比べセット(アテがつきます)。これだけですでに8種類!利き酒用のお酒は複数種類を同時に注文すると説明が書いてあるトレイにのせてくれます。和らぎ水は持参するのが良いでしょう。
利き酒は列車によって変わる様です。私の時は以下の5種類でした。どれも「新潟の酒」という共通の印象の上でそれぞれ旨味、渋味、酸の違いを出していました。 ・新潟しゅっぽっぽ 純米吟醸(越後鶴亀)※ ・新潟しゅっぽっぽ 純米吟醸(今代司酒造)※ ・白龍 純米吟醸(白龍酒造) ・吉乃川 大吟醸(吉乃川) ・妙高山 本醸造(妙高酒造) ※「新潟しゅっぽっぽ」はJR東日本新潟支社が設立した「JR新潟ファーム」で造られた酒造好適米「五百万石」を使い、精米歩合は新潟清酒の平均値である58%で二つの蔵が仕込んだ「旅と食と地域をつなぐ日本酒」です。新潟駅などでも購入できます。詳しくはWebサイト(http://www.jrniigata.co.jp/shupoppo/)をご覧ください。 私が乗車した日は2号車でJazzの生演奏がありました。やはり生は音が違う!なんて言うほどわかっていませんが、非常に近くで演奏を聴きながら海を見て日本酒を呑むという経験はなかなか他ではできませんよね! 他にも酒米クラッカーとオリジナル酒粕ディップの試食(ディップはレシピ配布あり!)がありました。C.FN’s Kitchen(シーズキッチン)製の酒米クラッカーも美味しかったのですが、非売品のディップが凄い! 1回目が「アボガド酒粕」、2回目が「越後姫(苺)酒粕」だったのですがどちらもおかわりしたくなる、ではなくおかわりしました! ちょうど試飲用のお酒(鑑評会用特別仕込み 越後お福正宗大吟醸 槽しぼり)も配られていたのでそれと合わせていただきました。まさに酒尽くし! 他の日は蔵元が乗車してお酒をふるまってくれることもある様です。 ひとり吞みですがとても楽しく過ごせました。通常の指定席の時は疲れるまでは2号車で過ごすのが楽しいと思います! Jazzの生演奏がこんなに近くで! 海もキレイです。 酒粕ディップと試飲のお酒。
乗務員のお姉さんが説明をしてくれます。
呑み比べセットをじっくり呑む
さて、呑み比べセットは「上善如水 純米吟醸」「柏露 純米吟醸」「越乃寒中梅 純米大吟醸古酒」の三種。猪口から溢れて枡まで入れてくれます。少し立ち疲れたのと、海の景色が終わったので自分の座席に戻ってゆっくりいただきました。座席はとても縦幅が広いので足をゆっくり伸ばして座れます。アテの鮭がとてもとても美味しくてお土産としても買ってしまいました(蔵守で販売しています)。 それにしても新潟のお酒は何だかベースの味の印象がよく似ている気がします。水の影響でしょうか。越後杜氏の伝統でしょうか。もちろん「新潟とは思わなかった」というお酒もあるのですが、今回改めて8種類をまとめて呑んだ感想としてはやはり「新潟の味」があるということでした。この味が好きかどうかは個人の嗜好の範疇になりますが。 こちらが吞み比べセット(2000円)
お猪口をどけると溢れて注いでくれているのがわかります。 こうして呑んでから駅弁を食べ、少しまどろんでいると新潟駅に到着です。
新潟駅でのもう一つの楽しみ「ぽんしゅ館」
私は青春18きっぷでその日のうちに東京まで戻る予定なので新潟滞在時間は約2時間半。なのですが新潟駅はこの時間で十分に楽しめます。越後のお酒ミュージアムぽんしゅ館新潟店は「新潟越後の酒蔵(93蔵)が全て利き酒できる場所(出典:Webサイトhttp://ponshukan-niigata.com/)」なんです(注)。 このお店には「利き酒番所」というところがあり、入り口でお金を払ってコインと交換して、そのコインで新潟のお酒をミニお猪口1杯利くことができます(5杯分からスタートで買い足し可能)。その数、90種類以上(数え忘れました。すみません。少し酔ってました。)。 お酒は壁一面に配置されていてセルフサービスです。