※この記事はsakefan.net掲載記事(2017.04.23)の転載です

Aoyama Sake Fleaとは

「伝統を重んじながらも、新しい世界を拓いている日本酒の世界を楽しめるイベント。AOYAMA SAKE FLEA は今のライフスタイルにあった『美味しい・楽しい・面白い』日本酒を、世界に向けて蔵元さんと共に発信 していきます。第 6 回を迎えた今回は、まだ味わったことのない若者や海外の人に届けるために、日本酒の 新しい楽しみ方やペアリング、英語の酒蔵ツアーを実施します。」(出典:Farmer’s Market @UNU Web-Site イベントページ
ということで、いつも週末にいろいろな無農薬野菜やはちみつ、ジャム、パンなど安全でおいしい食べ物のマーケットを表参道の国連大学中庭で行っているFarmer’s Marketのイベントとして定期的に行われているのが「Aoyama Sake Flea」です。
表のエリアが通常のFarmer’s Market。その奥の中庭部分がイベントエリアで、Sakeに限らず、coffeeやBEER、Craft、Nordic LifestyleやPicnicなどいろんなテーマでイベントが開催されています。
私は家族で通常のFarmer’s Marketへは何度も行ったことがあるのですが、今回初めて日本酒イベントに参加してきました。

中庭はこんな感じです

Sake Fleaで朝から酒を呑む!

「約100種類の日本酒を飲み比べられるほか、外国人向けの酒蔵ツアーや、オリジナルのラベルをデザインできるワークショップ、『熱燗・ぬる燗』や『塩 x 日本酒』、『Awa(泡)の日本酒だけを扱ったブース』など様々な日本酒の楽しみ方を提案します。 さらに4月に震災発生後1年となる熊本の酒蔵を応援する目的で、熊本中の酒蔵のお酒も集結。全国の日本酒を飲み比べて、気に入ったお酒は買うこともできます!」(出典:Farmer’s Market @UNU Web-Site イベントページ
と言われている通り盛りだくさんな雰囲気の会場でした。4/22(土)と4/23(日)の二日間のイベントで朝10時から会場。私は11時頃に行ったので割とゆっくり朝から酒が呑めてうれしい限りです。それでも思ったより人が多かったのは6回目を迎えたイベントの成果か、表の通常Farmer’s Market(こちらは野菜も多いので午前中から人手があります)からの流入か。

蔵元の人たちが説明してくれます

イベントのルールはチケット制で、シールお渡して日本酒をイベントオリジナルお猪口に注いでもらう仕組みです。最初の標準チケットはお猪口1つ(三種類から選べました)とシール6枚。通常のお酒であれば6種類飲めます。ちょっと高級なお酒は1種類で2枚必要です。今回は25の蔵が参加しており、どの蔵のブースにも1~2名若手の蔵元の人たちがいて出迎えてくれますので、話しかけるといろいろとお酒の話をしてくれます。
参加蔵元は以下になります。
陸奥八仙(青森)、山の井(福島)、仙禽(栃木)、若駒(栃木)、結(茨城)、木戸泉(千葉)、鶴齢(新潟)、文楽(埼玉)、真澄(長野)、よしのとも(富山)、手取川(石川)、みむろ杉(奈良)、播州一献(兵庫)、紀土(和歌山)、酒屋八兵衛(三重)、町田酒造(群馬)、青煌(山梨)、鏡山(埼玉)、来福(茨城)、松みどり(神奈川)、津島屋(岐阜)、若波(福岡)、東鶴(佐賀)。
そのほかにブースとしては熊本県ブース ( たちばな酒店 ) (熊本)、awa酒協会(東京)、燗酒ブースがありました。
今回私は真澄の宮坂酒造(長野県)、手取川/吉田蔵の吉田酒造(石川県)、津島屋/御代櫻の御代桜醸造(岐阜県)、みむろ杉の今西酒造(奈良県)のブースでお話を伺いました。

まずは真澄の宮坂酒造(長野県)。こちらでは「MIYASAKA 中取り生原酒」をいただきました。山田錦でスッキリ感を意識した宮坂酒造の新しいお酒のイメージで造られたもので非常に飲みやすく、かつ味のあるお酒でした。お刺身と合いそう。今回のイベントではフードトラックも魅力的なところがたくさんあるのですが、お猪口1杯となると味わって飲むと食べ合わせの前に終わってしまうのが残念です・・・いつも元気な宮坂さんが気持ちよく迎えてくださいました。

次に手取川/吉田蔵の吉田酒造(石川県)では吉田さんがこだわって設計している「u 山廃純米」をいただきました。実は「u」は昨年、一昨年と毎年購入して味の変化を楽しみにしているお酒です。アルコール度数13%の山廃というチャレンジにも年々工夫が加わってチャレンジの域を超えてきている感じがします。今年は「柔らかくつつみこむ感じ」。柔らかい香りと優しさに女性の人気が出そうなお酒でした。このお酒は地元石川県の酒造好適米である石川門を使用しています。ちょうど同じ石川門で造られた「石川門 純米生原酒」があったのでこちらもいただいて吞み比べました。こちらはしっかりした味わいで米の感じがよく出ていて、後切れも良くキリッとした感じでした。同じお米でも造り方でこれだけ違うのだと実感できます! この石川門というお米、とても気を遣うお米だということで、少し気を抜くと「風邪をひいてしまう」(吉田さん談)とのこと。石川門でうまく作れるようになると気を遣うところがわかるので、他のお米のお酒も今まで以上に美味しく造れるとのことでした。実際に造られている小西谷さんもブースにおられていろいろなお話を伺えました。

左が宮坂酒造ブース、右が吉田酒造ブース

その次は津島屋/御代櫻の御代桜醸造(岐阜県)へ。この蔵元のお酒は「父なるライン」というワイン酵母をかった白ワイン的な味わいのものが好きで何度も吞んでいるのですが、オーソドックスな「津島屋」のお酒を呑んだことがなかったので今回ブースへ伺いました。「父なるライン」もあり、これがいつものラベルと違うので聞いてみると「冬バージョンです」という回答。私が呑んでいたのは「夏バージョン」だったというのです。これは知らなかったと吞みそうになるのを抑えて「津島屋 純米山田錦」をいただきました。一番の定番は純米吟醸ということでしたが、今回の出品は純米と純米大吟醸(こちらは雄町)でしたのでここは純米で。この純米は「呑み続けられる味」を目指したということで香は控えめで酸が効いた切れのあるお酒でした。お話を伺うとこのお酒、当初は想定よりも酸が出すぎて出荷できないということで3年蔵で寝かされていたのです。今は酸好き(私のことです)にはいい塩梅で、一般的に言う熟成酒という感じはまるで無し。3年寝かしてこうなるお酒もあるのかと非常に興味深くいただきました。ご連絡すれば蔵見学も可能というお話でした。

最後にみむろ杉の今西酒造(奈良県)へ。みむろ杉は最近1年くらいで急に東京でもいろいろなお店で目にする様になった銘柄です。その辺りを聞いてみると「400石という小さい蔵なので特に東京向けに何かをしたということではなく、取り扱ってくださっている酒屋さんが広げてくれたのだと思います。特に取引先は増やしていませんし、増やせないですね。」とのこと。意外な回答でした。京都の松尾大社とならび日本酒の神と言われる三輪山の麓の蔵で、仕込み水は山自体が御神体である三輪山の伏流水。今回は飲んだことのない「おりがらみ生」をいただきました。こちらのおりがらみはスッキリとした飲み口でどんどん呑んでしまいそうな危険なお酒でした。

左が津島屋ブース、右がみむろ杉ブース

このほかにも燗酒ブースや販売ブースなどもあり、食事のワゴン車も気になったのですが、今回一番気になったのが中庭中央に陣取っていたこちらの外国の方。手作りの様な不思議な楽器で不思議な音楽を奏でていました。3つの楽器が組み合わされている様なのですが、それを器用に両手と足で演奏していました。周囲といい空気感で会場に柔らかさを漂わせる演奏でした。

また食事ワゴンとは別に通常の販売ブースで素晴らしいアテを発見!皆さんこの写真のもの何だかわかりますか?これは「天然ブリの燻製」なのです。魚介スモークというのも多くはないと思うのですが、驚いたのはその「やわらかさ」。燻製は固いという私の勝手な固定概念を打ち砕いてくれました。他にも鯛や太刀魚、しいら、きびなご、ブリの白子など試してみたくなるものがいっぱいでした。こちらは日和佐燻製工房という徳島のお店。さっそく今晩はブリの燻製で晩酌です。

このイベントは非常に気軽においしい日本酒がいただけるとか蔵元とお話ができるといった良さに加えて、周囲の食品のブースや食事ワゴンといったお酒以外のものも充実しているので、日本酒好きではないご家族やお友達を誘っても楽しめると思います。そのついでにこれをきっかけにして日本酒も好きになってもらえれば輪が広がりますね。次回開催は未定ですが、年に数回あるので数か月後にはまた開催されると思いますよ。開催はFarmer’s Market @UNU Web-Siteでチェックしてください!